12月のTTカフェの報告
日 時 :12月21日(土)16:00〜18:00
場 所 :大阪市中央区南本町「サエラ」
講 師 :将積厚子 氏
テーマ :ラオスの染と織
日本とニューヨーク、ラオスを行き来し、世界で活躍されている将積厚子氏に講師をお願いしました。丁度日本に居られる時のタイミングを狙って「ラオスの染と織」のレクチャーをしていただきました。
私たちにはラオスの知識や情報が少なく、ふだんは気に留める事も無く過ごしているのが現状です。ラオス人民民主共和国の基礎知識から話して頂きました。
国土は日本の本州ほどの大きさ。人口は656万人(2011年)で大阪府の人口より少なく、いかに人口密度が低いかが分かる。ベトナム、タイ、カンボジア、ミャンマー、中国に囲まれた内陸国で、国土の90%は山地、丘陵、高原。
多民族国家で、大きく3つに分類される。低地に住む(ラオ・ルム)/ラオ族、タイ系民族(黒タイ族、赤タイ族、ルー族)約56%。山腹に住む(ラオ・トゥン)/モンクメール系民族と原住民ともいわれる民族(ンゲェ・カトゥ・アラック・・・等)が約34%。山頂に住む(ラオ・スーン)/中国系などの民族(フモン・アカ・ヤオ等)が約10%。
ラオスは染も織も盛んな国で、民族衣装には多彩な織柄や刺繍が施されていています。女性はみんな布を織っていて、紡ぎながら歩くというお話もされていました。糸を作り、染めをして、織をして、と布作りは女性の生活そのもののようです。
素材の多くは木綿と絹(野蚕で蚕は黄色い)の天然繊維で、染めも草木などの天然の染料を使う。今日では化学染料が使われることもあるとか。
藍染めは多く用いられ、男性用の藍色と女性用の黒に近い藍色がある。
ラオ・スーン(藍染めの民族衣装を着ているヤオ族の一派)の織は非常に細かい織技術があって、房の紐状の部分は織で出来ている(写真)。葛の弦を糸にして編んだバッグは、とても細かくてきれいな編み目で緻密な手作業である。
経糸が輪になっていて腰と足でテンションをかけて織る、古くからの織技法の一つであるイザリ機は今も沢山織られている(写真)。畳めばコンパクトになるので持ち運びができ、雨期のあるこの国の気候に適した織で
す。
赤タイ族のスカートはヨコ絣とドビーの柄が組み合わされた布(写真)。タイ系ルー族はつづれ織の民族で絹の織物は黄金の繭(繭の種類)から作られるそうです。
ラオスの衣装や布の実物を広げて紹介いただき、織柄の意味や織の技法についての説明がありました。
タリアン族のカラフルな刺繍の入った民族衣装はチャーミングで、またアクセサリーやチャーム小物(写真)もかわいくて暖かみがあります。
染めと織のレクチャーを通じて、ラオスの人々の暮らしや環境や文化を知る事ができた素敵な時間でした。
記:神沢
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